津久井やまゆり園の
利用者支援の検証を求める要請書
神奈川県知事 黒岩 祐治 殿
「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会
私たちは、障害者権利条約(以下、権利条約)の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃ の代表も関わって作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を 求めて行動しています。
6月18日付の毎日新聞は、「やまゆり園の虐待調査、コロナに乗じて闇に? 神奈川県の中止宣 言に疑問の声」と言う記事を掲載し、「5 月 18 日の県議会厚生常任委員会で、県側が「津久井やまゆ り園の検証は中間報告をもって終了」「最終報告は作成しない」と説明」したことを報じています。 取材を受けた鳥井健二・利用者支援検証担当課長は、「調査は法人に任せている。今後は前向きな議論をしていく」と答えた、としています。 私たちは、憤激を抑えることができません。
『津久井やまゆり園 利用者支援検証委員会 中間報告書』(以下、中間報告書)において、虐待の あったことが指摘され、かながわ共同会については「法人のガバナンス体制に関する検証」におい て問題が指摘され、神奈川県に対しては「県立の障害者支援施設の設置者としての役割意識が不十 分であり、指定管理者に障害者支援施設の運営を任せきりにしてしまう傾向があることが確認され た。」と記載されています。
鳥井課長の上記の発言は、この中間報告書の指摘を100%否定するものであり、絶対に容認することはできません。 また、かながわ共同会による調査や自己改革にまかせることなどできません。
3月16日に出された横浜地裁の判決では、2016年7月26日の植松の襲撃の動機の重要な 柱として、「本件施設の利用者とその家族、職員の言動から、意思疎通ができない重度障害者が不幸 を生む不要な存在であり、「安楽死」させるべきであると考えるに至った」と記載しています。
にも かかわらず、判決後に開かれたかながわ共同会の記者会見では、「「運営上の問題点」についての質 問に対して、園を運営する社会福祉法人かながわ共同会の草光純二理事長が、こう語気を強めた。 「決してないと私は思っている。軽々しくそう思うこと自体が非常に失礼で、無責任な発言。こと の本質を見誤る」(『時事通信』)
と発言しています。これでは、法人運営の改善など、期待できるはずもありません。
私たちは、以下のことを要請します。
(1)津久井やまゆり園利用者支援検証委員会の検証を継続すべきであり、 5 月 18 日の県議会厚生 常任委員会で表明した「最終報告は作成しない」との方針を撤回すべきです。 検証委員会の佐藤委員長は、津久井やまゆり園職員からの聞き取りを行う予定だったと語られています。虐待防止には、必須のことです。これを神奈川県が妨害するとしたら、それは、障害者虐待 防止法をないがしろにする行為であり、私たちは断じて許しません。
(2)5月18日の県の表明がどのような経緯で出されたのか、その反省も含めて、明らかにして ください。
(3)神奈川県は、6月26日に開かれた神奈川県議会の厚生常任委員会において、‘神奈川県障害 者施策審議会’に設置する‘障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会’(以下、検討 部会)において、津久井やまゆり園も含む県立6施設の検証を行って行く、と表明されたと聞いて います。これについて、おたずねします。
① 検討部会の所掌事項の中には、検証という言葉が入っていません。これはどうしてなのでしょ うか。
改めて、所掌事項に、利用者支援の検証ということを、明確に記述してください。
②検討部会と並行して、‘津久井やまゆり園 利用者支援検証委員会’(以下、検証委員会)が最終報 告を出すまで活動を継続させるべきだと思いますが、この点についての見解を示してください。
③ 検証委員会のメンバーは、この検討部会に加わるのかどうか、おしえてください。
7 月 15 日までにご回答ください。
2020 年 6 月 29 日