2022年3月18日

(各大臣それぞれに提出しました)

内閣総理大臣 岸田 文雄 様

厚生労働大臣 後藤 茂之 様

法務大臣   古川 禎久 様

  • 優生保護法被害国賠訴訟東京高裁判決(2022年3月11日)への上告を絶対に行わないでください 

  • そして、同大阪高裁判決(2022年2月22日)への上告を直ちに取り下げてください

 私たちは、障害者権利条約の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃの代表も参加して作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(「骨格提言」)の完全実現を求めて運動している団体です。

 

 3月7日、政府は、2月22日の大阪高裁判決に対して、最高裁に上告しました。このことは政府が、優生保護法とその実施による被害者の苦しみに対して、まったく反省していないことを示したものであると、言わざるを得ません。

報道によれば、この上告の意図として、「11日に同種訴訟の東京高裁判決が控えていること」も挙げていたとされます。これは、政府が東京高裁判決に圧力を加えることであり、憤怒の思いを抑えることができません。

 

 こうした中で、3月11日、東京高裁の平田豊裁判長をはじめとする裁判官の方々が重要な判決を出しました。

優生保護法が憲法の幸福追求権(第十三条)と平等権(同十四条一項)違反の法律であり、国は、この法律に基づく施策を推進した結果、被害者に身体的・精神的に大きな被害を与え、国には賠償の責任があることを明らかにしました。そしてこの法律により、社会にも差別観念を助長した問題点も指摘しています。

 全国の訴訟において争点となってきた除斥期間についても、一定程度納得できる判断を出しました。私たちは、国が違憲な行為により市民に多大な犠牲を強いても20年経てばその責任から逃げおおせる、ということについて、なんと無法無責任な国に住んでいるのか、と思ってきました。

11日の判決では、国自身が優生保護法の問題性を社会に対して明らかにしたのは、2019年4月の「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」によってであるとして、それ以降5年間に、訴えを起こした場合は、除斥期間は適用すべきでない、との判断を下しました。

さらに、違憲な行為による被害について、公務員の不法行為による損害の賠償を規定した憲法十七条による保証を受けるべきところを、下位の法律である民法の七二四条を根拠に受けられなくなるということのおかしさについても指摘しています。

 

 地裁段階では、4件の地裁が優生保護法を違憲とし、高裁段階では続けて2件の判決で違憲とされました。それにも拘わらず、国が民法七二四条を根拠に上告するとすれば、公務員の憲法尊重擁護の義務を規定した憲法九十九条にも違反する行為だと言わざるを得ません。

 高齢の被害者を苦しめ続ける非人道的行為を、私たちは絶対に許すことはできません。

 

 したがって、3月11日の東京高裁判決についての上告をしないこと、および、2月22日の大阪高裁判決への上告を直ちに取り下げることを強く要請します。