2022年10月19日 記者会見資料

しょうがいしゃ関連法案は、障害者権利条約に基づく国連の要請を踏みにじる

 10月14日、政府は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するため の法律等の一部を改正する法律案」(以下、法案)の閣議決定を行い、国会に上程し ました。

 この法案上程は、その中身ももちろんですが、附則に記載される施行期日や 検討規定からみて、9月9日に発表された国連の障害者権利委員会の総括所見を踏み にじるためのものであることが判ります。

 法案には、障害者権利委員会からの総括所見を検討するという文言は、一切ありま せん。そして、法案の施行は、一部を除いて、2024年の4月とされています。そ して、その後の法律の見直しは、その5年後以降としているのです。これまで、しょ うがいしゃにかかわる法案の見直しは、3年後とされてきました。これをわざわざ延 長したのは、総括所見を無視するため以外にはありえません。 法案施行後、5年後の見直しとは、2029年以降ということです。国連の障害者権 利委員会からは、日本政府に対して、2028年2月20日までに、次の定期報告書 を提出するように求めています。そこには、今回の総括所見で指摘された事項の実施 状況を記載するように求めています。

 政府は、総括所見を無視したという前歴を作ろ うとしているのです。私たちしょうがいしゃにとって、この法案の成立に反対しないとすれば、私たち自 身が総括所見を無視する片棒を担いだということになります。

 

●法案および厚生労働省が進めていることに、問題あり

 障害者権利委員会の総括所見では、複数個所で、精神保健福祉法などの強制入院を 可能にする法律の撤廃を要請しています。 ところが、この法案では、むしろ、精神保健福祉法の強化が進められています。強 制入院制度である医療保護入院については、市町村長同意で進めて行く方向が示され ています。

 グループホームにおける一人暮らしに向けた援助についても、入居期限付きグルー プホームの類型を作るための方策です。結局報酬改定などを通じて、期限付き類型と 大規模グループホームへの分化が進められていくものと考えます。

 しかし、障害者総合支援法の前回改定後に作られた大規模グループホームでは、今 年だけでも、東京都青梅市にある「自立支援塾おざくSS」や群馬県渋川市にある「グ ループホームふわふわ渋川」などで、虐待致死事件が起こっています。 「家庭的な雰囲気」で生活するとしたら、大人数のグループホームも、また、一人 暮らしへの訓練所としてのグループホームも、どちらもそれにふさわしいものにはな りえません。一人暮らしをしたい利用者には、すべてのグループホームが協力する体 制こそが重要なのです。

 今回の法案では、制度の谷間に置かれ、福祉による支援を受けられない多くの難病 者の問題は解決されません。また、神戸市にある精神科病院‘神出病院’など、各地 で事件が明らかになった精神病院の状況も改善されません。神奈川県立の入所施設で 明らかとなった虐待の起こる状況についても、解決されません。

 やはり、国連の障害者権利委員会から提出された総括所見に基づいた制度の改善を 図る以外にはないのです。  

 わたしたち、「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会’は、1 0月14日に国会に提出された政府法案に断固反対します。